こんにちは、「いつかみ聖書解説」です。当WEBサイトは「マンガに見える聖書のエッセンスを取り出す」というコンセプトで作っています。
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試行錯誤しながらではありますが、“愛するマンガ”と“愛してくれている神”との世界に浸りながら作っています。
2017年11月、【いつかみ】を作り始める前に「似た試みはあるのかな?」とリサーチをしてみました。キリスト教書店の店員さん聞いてみたところ、「ポップカルチャーを哲学する」という本を教えてもらいました。
読んでみたところ「コレだ!」と思いましたので、みなさんにも紹介していきたいと思います。
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目次
【ポップカルチャーを哲学する】はどんな本?
「現代のメインカルチャーたるポップカルチャーと、キリスト教はどのような関係にあるのだろうか。あるいは日本の伝統的宗教や習慣とはどのような関係にあるのだろうか。
これらの問いに一応の答えを与えることが、若者たちに、自分たちの知っていることと全く未知のものに見えるキリスト教とが、意外にも深く関係しているという事実を知らせることにつながるのだ」(本文より引用)
この本は、「アニメ・マンガの人気作品には若者たちの宗教観が現れているのではないか?」「ユダヤ・キリスト教的価値観で描くことでヒットしているのではないか?」ということを探る視点で書かれています。
場合によっては「この世界観の××はキリスト教的ではない」といった「違い」も取り扱っています。
作品のメッセージ性や「その作品に心動かされる心理とはどういったものか」といった部分にまで触れ、他に類を見ない本だと感じました。
こんな人にオススメ
・サブカル(ポップカルチャー)好き
・マンガに出てくるキリスト教の知識を知りたいと思っていたけど、資料がなくて断念してた人
・サブカルを教養として考えたい人
・マンガ描くにあたって聖書の知識を押さえておきたい人
・日本宣教の新しい切り口を探している人
・「母性のディストピア」を面白く読めた人
・「母性のディストピア」を面白く読めたけど難しいと思った人
本書で取り上げられている作品
「Smoking Gun 民間科捜研調査員 流田縁」
「魔法少女まどか☆マギカ」
「1Q84」
「風立ちぬ」
「S -最後の警官」
「永遠の0」
「進撃の巨人」
「聖☆おにいさん」
「とある魔術の禁書目録」
「七つの大罪」
「DEATH NOTE」
「死神くん」
「新世紀エヴァンゲリオン」
「千と千尋の神隠し」
「風の谷のナウシカ」
「境界のRINNE」
「創世のアクエリオン〜虚空の天翅〜」
「ペルソナ3」
「純潔のマリア」
「鋼の錬金術師」
「荒川アンダーザブリッジ」
「ゴールデンカムイ」
「聲の形」
「青の祓魔師」
個人的にツボった題材
鋼の錬金術師
「まじめな」錬金術師の物語/生命倫理的問題意識/正しい絶望を与える「真理」/等価交換を超える「愛」
[私の感想]
読んで、泣いてしまいました。書評で泣いたのは初めてです。この本を読まなければ【いつかみ】でのハガレンの取り扱いはもっと希薄で雑なものになっていたと思います。
魔法少女まどか☆マギカ
祈りの実現と引き換えに魔女と戦う少女たち/「神」になる魔法少女/「神議論」問題とコヘレトに並ぶ知恵
[私の感想]
「まど☆マギを見て哲学専攻を決めた」という学生さんの話しを読んで、「サブカル文化から哲学を考える」という人が一定数いることに安心しました。
私自身もサブカルを「作品」として楽しんでいたというよりは、そこから何かしら「人生や世界に対する道しるべ」を探す手がかりとして見ていた気がするし、【いつかみ】そういう方向性で書こうとしていますので。クリスチャンなら受け入れがたい「まど☆マギ」のラスト(人によっては『あれは完全に反キリストだよね』というくらい)をどう扱っていけばいいのか、ひとつの道しるべになると思います。
七つの大罪
「七つの大罪」?/ユダヤ・キリスト教要素の「商品価値」/アーサー王伝説の多用/現代日本における「罪」のイメージ
[私の感想]
私自身は「七つの大罪」を見ていないのですが、食指が動かなかった理由が逆にこれを読んでわかりました。
風の谷のナウシカ
『ナウシカ』の哲学性/日本的救世主像/「生けることば」が表す目的論的世界観/滅ぶべき「墓」との対話/アブラハム宗教との深層での同質性
[私の感想]
人によっては「宮崎駿作品は見ない」というクリスチャンもいるそうですが、宮崎駿作品とのキリスト教との「共有ゾーン」もあるのだなと感じました。目に見えている現象だけを論ずるのではなくて、奥に流れている「思想」について語るという姿勢でもいいのだと思えました。
難点…ボリュームは少ないかも
一つの題材あたり6〜10ページ程度で、あっさりしています。「アニメ・マンガに流れているキリスト教的価値観とはどんなものだろう」という入り口にはちょうどいいと思います。そのため、読みやすいとも言えますが、何か一つの作品に深掘りして欲しい方には物足りないかもしれません。
「母性のディストピア」に興味がある人は楽しめると思います。母性のディストピアと比べるとボリュームは少なく、その分読みやすいです。
新宿のキリスト教書店にもおいてなくて取り寄せで購入しましたので、最初から通販で買ったほうが安パイかなと思います。
むすび
当サイト【いつかみ】は、この「ポップカルチャーを哲学する」が基盤の一つとなっています。この本が2017年というタイミングで出版されていなければ、【いつかみ】は存在していないかもしれません。大きな道しるべとなってくれました。
冒頭の文に強く共感します。
思えば新約聖書は「大衆の」ギリシア語で書かれた。パウロは宣教において「ユダヤ人に対してはユダヤ人のようになり」「すべての人に対してすべてのものにな」ったと言っている(コリント19章20〜22節)。
私たちもそうするべきではないだろうか。本書のつたない試みが、さまざまな「日本文化へのキリスト教文脈化」のヒントになるとしたら望外の幸せだ。(本文より引用)
「ポップカルチャーを哲学する」の試みが私たちを動かしたように、【いつかみ】の試みも誰かの心にタネを残し、後押しすることがあればいいなと思います。
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