兄目 葵(あにめ あおい)
マンガやアニメが好きな高校生。石本伝道師と一緒にウサギを捕まえたことがキッカケで、兎有留(とある)教会に出入りするようになる。石本伝道師にマンガの話をしていくなかで、自分のやりたいことに向き合っていくのだが……
万賀 拓海(まんが たくみ)
葵の幼なじみの高校生15歳。
マンガ家を目指す少年。熱血な性格。
石本 剛(いしもと つよし)
最近、兎有留教会に赴任してきた牧師見習いの青年。ウサギのラビーちゃんとミロを愛する34歳。
葵と拓海からマンガの話を教わりつつ、たまに聖書の話しもする。過去には新興宗教の幹部候補生だったらしく……
ラビーちゃん
石本の飼っているミニウサギ。ミニといってもウサギの中では最大級に大きくなる種類。実は人間の言葉がわかる(しゃべることはできない)。性別はご想像にお任せ。
春。話すことが苦手な葵は、友だちができないまま高校生活のスタートを切ってしまった。落ち込んでいたところ、〈とある教会〉の牧師見習いの石本と出会う。大好きなマンガやアニメの話しならたくさん話せる葵は、石本にマンガを貸す約束をする。こうして葵は教会に足を運ぶようになる。最近では幼馴染の拓海も誘っている。
目次
第5話 ヒカルの碁
「こんにちはー」
「おや、こんにちは葵さん。拓海くんも」
「ちゃーっす」
「あがっていかれますか?ラビーちゃんは奥にいますよ」
「はい!マンガも持ってきましたよ!」
「えへへ、今日のは少年ジャンプの異色の名作です!(なでなで)」
「もふもふ(今日はにぎやかになりそうだな〜)」
「異色の名作?」
「その名も【ヒカルの碁】です!」
「【ヒカルの碁】ですか!僕も少しだけ読んでましたよー」
「ほんと?どのあたりまで?」
「主人公がオカッパの美少年に触発されるあたりまでは何となく……」
「塔矢アキラくんですね!そこからもすごく面白いんですよ」
この記事はネタバレを含んでいます。ネタバレが嫌な方は、原作を読んでからまた遊びに来て下さい!更新のお知らせを受け取りたい方は、
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ヒカルの碁はどんなマンガ?
◆ストーリー◆
主人公・進藤ヒカルは、運動好きで頭を使うことが嫌いなごく普通の小学校6年生。
たまたま祖父の家の倉を物色していた際、古い碁盤に血痕を見つけたヒカルは、その碁盤に宿っていた平安時代の天才棋士・藤原佐為(ふじわらのさい)の霊に取り憑かれる。囲碁のルールも、佐為がかつて憑いていた棋聖・本因坊秀策の強さも知らないヒカルは、「神の一手を極める」という彼の壮大な目標に付き合わされ、彼にせがまれるままに碁を打つことになる。以降、佐為はヒカル以外には姿も見えず会話もできず、物を動かすことすら出来ない存在であることを前提に物語は進む。
囲碁が打ちたいという佐為の要望に応えるために巡っていた碁会所で、ヒカルは同年代の少年、塔矢アキラと出会う。アキラは囲碁界のトップ中のトップである塔矢行洋の一人息子であり、すでにプロ級の腕前を持ち、将来の名人と目される少年であった。
そんな相手とは露知らず、佐為の指示通りに石を打って対局した結果、ヒカルはアキラに勝利する。同年代に自分と肩を並べる相手がいるとは思っていなかったアキラはこの敗戦をきっかけに、ヒカルを自分の倒すべき高い目標として追いかけることになる。
一方、訳のわからぬままに勝利したヒカルは、アキラの囲碁にかける熱い思いを見て、自分自身がもっと囲碁に対しての理解を深めたいと思うようになる。
他方で塔矢行洋は、息子のアキラを破ったヒカルに密かに注目するようになり、佐為は現在の最強者であり自分と対等以上に戦える相手である塔矢行洋と対局してみたいと願う。
(引用:【ヒカルの碁】wikipediaより)
藤原佐為は可愛いけど、幽霊っているの?キリスト教的には「御使い」みたい?
「読む前は囲碁マンガなんて地味すぎ!って思ったけど、読み始めると面白すぎて!ジャンプの歴史に残る名作だぜ!」
「確かに発想がすごいですね。囲碁の強い幽霊に取り憑かれるなんて、思いつかないですもん」

(画像:ほったゆみ/小畑健「ヒカルの碁」より。藤原佐為)
「佐為がまた可愛いんですよ!こんな幽霊だったら私も取り憑かれたいです…!普段はかわいいんですけど囲碁のことになるとキリッとした表情になってでも結局は囲碁が好きすぎて囲碁バカなだけともとれるんですよねとにかく尊みが強すぎて言語化が追いつかなくって、あ!みてくださいよこの巻の表紙、透明感が神じゃないですか?神…! !」
「(マシンガントーク…)」
「(葵ちゃんのいいところでもあるんだけど)」
「はっ!!」
「?」
「もしかしてキリスト教って、幽霊信じないですか……?」
「うーん、霊的なものは信じます。悪霊とか聖書に出てきますし。ただ“死んだ人間の魂”が現世に残ると言うのは一般的なクリスチャンは信じてないのではないでしょうか」
「じゃあキリスト教の人から見たら、佐為って変な存在だよな?」
「でもそれはマンガを面白くする演出ですから」
「例えばなんですけど囲碁界での佐為は“幽霊”というより“御使い”っぽいかなとは思います」
「“ミツカイ”?」
「いわゆる“天使”ですね」
「天使なんているの?あ、もしかしてクリスチャンになったら見れたり!?」
「うーん、期待させてしまって申し訳ありませんが、そう言うわけでもないです。見れる人もいるようですが、僕は見えません」
「それって見える人の方がエラいんですか?」
「いやぁ……確かに分かりやすく見えたらいいなぁと思うこともありますが、聖書にはこう書いてありまして」
『イエスは彼に言われた、「あなたはわたしを見たので信じたのか。見ないで信ずる者は、さいわいである」。』
(ヨハネによる福音書20章29節)
「なので、見える必要はないかもしれませんね」
「ふーむ、見えないで信じる方がスゴイって扱いなんですね」
「あ、『囲碁を強くしてくれる天使』とかっていねえの!?」
「ははは、それは面白いですね。一応、御使いはそれぞれ役目があって。もっとダイレクトに神さまを讃えたり仕えたりする様なので、佐為みたいに囲碁担当はいないかもです。でも囲碁を通して神さまを讃えたいと願うなら、そこには神さまが助けがあるかもしれませんね」
強くなるには動機が大事?
「え、キリスト教では『神様すごい』って思えば助けてもらえるってことですか?」
「おお、良いところに目をつけましたね。そうですね、厳密に言うと、イエスを主と信じるものには『キリストのからだ(教会)を建て上げるための力』が与えられると言われています」
「教会を運営するための能力とかですか?じゃあ囲碁はないか……」
「いえ別に、ないとは思いませんよ。教会をどう運営するかの範囲は広いですから……例えば、世間で仕事をしながら神さまを讃えたり、お給料から献金したりすることも教会の運営と言えますし」
「ですからプロ棋士としての才能はを“神さまからいただいたものです”と言ったり、稼いだお金をささげたり、そういうパターンもあると思いますね。それにこういう言葉も聖書にありまして……」
『求めても与えられないのは、快楽のために使おうとして、悪い求め方をするからだ。』
(ヤコブの手紙4章3節)
「なので、自分のためでなく神さまのためという思いがあれば、囲碁も強くなるかもしれません」
「“神様すげー”って思ってたら囲碁も強くしてもらえるかもしれないけど、そのもらった才能は神様のために使わないといけないんだな」
「そんな感じです」
「ちょっと分かるかも。【ヒカルの碁】からは“自分のためだけじゃなくて、他人のことを考える人のほうが偉業を成し遂げていく”みたいなメッセージがある気がします」
「ほぉ!どういうところですか?」
「【ヒカルの碁】では、『囲碁は同じ力量の打ち手が同時代に二人いないと神の一手にたどり着かない』ってわかるシーンがあって」

(画像:ほったゆみ/小畑健「ヒカルの碁」より。神の一手は天才が2人揃うから生まれる)
(画像:ほったゆみ/小畑健「ヒカルの碁」)
「これな!シビれるよな!」
「つまり……佐為がヒカルに出会ったのにも理由があったんです。
例えば“ヒカルに碁を打たせること”とか“ヒカルが対局した人たちに影響をおよぼすこと”とか“遠い過去と遠い未来をつなげること”とか……それが佐為の使命だったって分かるシーンがあるんです」

(画像:ほったゆみ/小畑健「ヒカルの碁」より。佐為が消えた理由)
「なるほど。そう聞くと【ヒカルの碁】は単なる成長物語ではなくて、もっと広いテーマな気がしますね」
「そうなんだよな!囲碁界の歴史に想いを馳せれるっていうか!」
「でも、だからこそ“自分のためだけに力を使おうとする人”には、神様は才能もキッカケも与えてくれないんじゃないってことですよね」
人生は刺繍の裏側。好きなことを見つけるには?
「ヒカルは自分のために囲碁を始めたのに、自然と好きになれていいなぁ。ズルい」

(画像:ほったゆみ/小畑健「ヒカルの碁」より。進藤ヒカルの成長)
「確かにうらやましい天職の見つけ方ですね。葵さんは、マンガやアニメ見ることの他に好きなことはありますか?」
「…ないです」
「寝ることだろ?」
「うるさい!」
「(ウサギをなでることって言ってくれないのかな…ソワソワ)」
「ははは、そうですか。睡眠は大事ですね。……葵さんは、刺繍の裏を見たことがありますか?」
「えっ?刺繍の裏ですか?……家庭科の授業でちょっと見ましたけど」
「あれって、裏から見るとぐちゃぐちゃですよね」
「そうですね、ちょっと残念な感じ」
「私たちの人生も刺繍のようだ……と言った人がいます」
「人生とは、美しい刺繍を裏から見ているようなものだ。
その模様が何を意味しているか、そのままでは分からないが、
それを表から見られるようになったとき、その意味と美しさが分かる」
(ピエール・テイヤール・ド・シャルダン フランス人カトリック司祭。古生物学者・地質学者 1881年~1955年)
「佐為も、最後に振り返って自分の使命に気づいたんですよね?僕たちの人生もどんな模様になっているのかは、振り返ってみないと分からないのかも知れません」
「神さまは一人ひとりを愛しています。僕たちから見て無意味に見えることも、先が見えないことにも神さまの計画があって、美しい刺繍が織られていると僕は信じます。葵さんもお若いのですから、今は『楽しい』と感じることを手当たり次第でもやってみたらいいんじゃないかな、と思いますよ」
「そうなのかなぁ……」
「石本さん!なんっかすげー響いた!おれこの前に投稿したマンガ、全然評価されなくて!でもこういう紆余曲折もアリだよな!」
「投稿ですか!すでにすごいです!ぜんぜんアリだと思いますよ!」
「うおー!燃えてきたぜ!帰ってキャラクター造形しよっと!」
「……」
「(あれ、葵ちゃん…なんか浮かないカオしてる)」
「オレも今は評価されなくても未来はわかんねえよな!今はとにかくやるぞ!」
「…拓海はさ、いいよね。何をしたらいいのか分かってて」
「ん?おれはやりたいことやってるだけだけど」
「お母さんに反対されてるって言ってたじゃん。それでも貫けるのって、情熱だよね。私は情熱も才能だと思うの」
「そ、そっか?お前に褒められるとなんか気持ち悪いな」
「…思ってるよ、いつも(…それで自分と比べてる)」
「(私には何もない。マンガを読んで楽しいって思ってそれだけ。同じマンガ好きでも拓海とも違う)」
「ヒカルみたいに、無理やりでも才能を目覚めさせてくれる存在に出会えたらどんなにいいか。…いや、そもそも才能なんて持ってないのかも」
「私になんの才能もないのは、それを神さまのために使うってことができないからなのかなぁ」
「神さまのために使うって宣言したら、与えられるのかな…」
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ヒカルの碁はジャンプの人気作です。時間を置けば無料で読める系のアプリをいくつか探して見ましたが、無課金で読めるように取り扱われているところはありませんでした。また、安くレンタルできる電子書籍レンタルサービスRenta!にも取り扱いはありませんでした。Amazon Kindleは全巻冒頭を数ページ試し読みできますので、そちらもご活用ください。
▼アニメもあります
原作に忠実に再現されたアニメもあります。17巻18巻にあたる部分までアニメ化されました。(佐為が消えてヒカルが囲碁界へ復活するまでくらい)
主人公・ヒカルの声優をつとめた川上とも子さん(2011年没。享年41歳)はカトリックで洗礼を受けられたクリスチャンでもあります。
基本的にウチが推しているdアニメストアさんでは配信されていなかったのですが、U-NEXTさんでは配信されていました。初代OPがアガります!
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