こんにちは、人気マンガ・アニメから聖書を解説していくWEBサイト【いつかみ聖書解説】です。

今日は、19世紀にロマン派が共感の嵐を寄せた
「カイン」(旧約聖書創世記4章)に神さまが授けた『しるし』とはなんぞや?
という考察を紹介して参りますぞ。
この神がカインに与えたしるしがどんな物であったのかについて多くの議論がなされてきました。しるしと訳されているヘブル語の単語は「印、マーク、象徴」という意味があり、旧約聖書で79回使用されていて、ほとんどの場合「しるし」と訳されています。この単語からはしるしがどんな物であったのかはわかりません。それが何だったとしても、そのしるしはカインが殺されるべきではないとはっきりわかる物だったのです。そのしるしが傷や刺青だったという人もいますが、聖書箇所が重要視しているのはしるしの性質ではありません。聖書が重要視しているのは神がカインが殺される事がないようにとカインにしるしを与えたという行動であり、その性質は不明ですが、カインが殺される事はありませんでした。
神がカインに与えたしるし(創世記4:15)とは何?(Got Questions)
→カインの刻印(Curse and mark of Cain)
ほぼまとめ終わってからWikipedia英語版にページがあることに気付きました!2020年12月20日時点では日本語版ページが存在してないので、誰か翻訳してください…(涙)!(手が回りそうだったら我々もやりたいですが……)
いちおう、2020/12/22時点の英語版Wikipediaにはないような「サブカル由来」の解釈も集めたので、よければご覧ください。
このようなタイトルのコラムに入ってこられる時点で創世記のカインとアベルの物語を「全く知らない・興味がない」という事はないと思うのですが、記憶が曖昧な方もいらっしゃると思います。
以下WEBコラムにてまとめてあるので、復習されたい方はどうぞです。


▼こんなんもあります

この『しるし』がなにであったのかという解釈は教理には属さない部分のハズなので、けっこう色々考察されてる印象です。
楽しんでいただけたら幸いです。
目次
考察・解釈イロイロ
額に印(神の名・角など…)
黙示録を見ると、世の終わりに、神に反逆する者たちは「獣の刻印を受け、神の刑罰を受ける」と書かれています(黙示録13章、14章)。
『出エジプト記』『エゼキエル書』『ヨハネの黙示録』などの記述を呼応させて「額」になにかをつけられたと考える方もいるようです。なおどういった印がつけられたかについてもいくつも解釈があるもよう。
- 神の名
- 角
- Vav などなど…(くわしくはWikipedia英語版へ…)
それから、その獣の像に息を吹き込んで、その獣の像が物を言うことさえできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。
また、小さき者にも、大いなる者にも、富める者にも、貧しき者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々に、その右の手あるいは額に刻印を押させ、
この刻印のない者はみな、物を買うことも売ることもできないようにした。この刻印は、その獣の名、または、その名の数字のことである。
口語訳聖書ヨハネの黙示録13章15~17節
あなたはまた純金の板を造り、印の彫刻のように、その上に『主に聖なる者』と刻み、
これを青ひもで帽子に付け、それが帽子の前の方に来るようにしなければならない。
これはアロンの額にあり、そしてアロンはイスラエルの人々がささげる聖なる物、すなわち彼らのもろもろの聖なる供え物についての罪の責めを負うであろう。これは主の前にそれらの受けいれられるため、常にアロンの額になければならない。
口語訳聖書出エジプト記28章36~38節
ここにイスラエルの神の栄光がその座しているケルビムから立ちあがって、宮の敷居まで至った。そして主は、亜麻布を着て、その腰に物を書く墨つぼをつけている者を呼び、
彼に言われた、「町の中、エルサレムの中をめぐり、その中で行われているすべての憎むべきことに対して嘆き悲しむ人々の額にしるしをつけよ。」
口語訳聖書エゼキエル書9章3~4節
また、もうひとりの御使が、生ける神の印を持って、日の出る方から上って来るのを見た。彼は地と海とをそこなう権威を授かっている四人の御使にむかって、大声で叫んで言った、
「わたしたちの神の僕らの額に、わたしたちが印をおしてしまうまでは、地と海と木とをそこなってはならない」。
口語訳聖書ヨハネの黙示録7章2~3節
そして、この底知れぬ所の穴が開かれた。すると、その穴から煙が大きな炉の煙のように立ちのぼり、その穴の煙で、太陽も空気も暗くなった。
その煙の中から、いなごが地上に出てきたが、地のさそりが持っているような力が、彼らに与えられた。
彼らは、地の草やすべての青草、またすべての木をそこなってはならないが、額に神の印がない人たちには害を加えてもよいと、言い渡された。
口語訳聖書ヨハネの黙示録9章3~4節
なお、わたしが見ていると、見よ、小羊がシオンの山に立っていた。また、十四万四千の人々が小羊と共におり、その額に小羊の名とその父の名とが書かれていた。
口語訳聖書ヨハネの黙示録14章1節
のろわるべきものは、もはや何ひとつない。神と小羊との御座は都の中にあり、その僕たちは彼を礼拝し、御顔を仰ぎ見るのである。彼らの額には、御名がしるされている。
口語訳聖書ヨハネの黙示録22章3~4節
▼『ヨハネの黙示録』はこちらでも
「ヨハネの黙示録の名言」?構成、解釈の種類、他書簡との比較も紹介【同人誌をアツくする聖書入門】
ユダヤ教のラビたちの考えた5選
(1)カインという名前の中の1文字
出典:クレイ聖書解説コレクション「創世記」
(2)カインという名前の4文字すべて
(3)ツァラアト(皮膚病)
(4)人を追い払うための番犬
(5)額から生え出た1本の角。誰かが襲って来たなら、これで戦う。
ただし、「しるし」というのは目に見える何かですから、「カインのしるし」は、それを見た人がカインであることを認識できた何かです。
十字傷(たぶん顔)
聖書にはそんな記述はないんだけれども、「帰納的に考えて、そうであっても驚かない」ところから出た発想なのでしょうね。
【剣心のモデル?】るろうに剣心が旧約聖書のカインだと俺の中で話題(いつかみ聖書解説)
これは、当WEBサイトでも詳しくコラム設けています。
旧約聖書にはイエス・キリストの予型がめちゃたくさんある、ということから連想した人がいたとのことです。
▼詳しくはこちら
【剣心のモデル?】るろうに剣心が旧約聖書カインのアレゴリー満載だと俺の中で話題
刺青(入れ墨)
最も一般的な説は「タトゥー(Tatto)刺青」です。
カインの「しるし」はタトゥー(刺青)か?(星周作ブログ)
「星周作ブログ」のブログ主さんが刺青をもっとも一般的な説だと判断した理由はわからなかったのですが、そういう感触を抱かれているようです。
自然現象かもしれない
〈一つのしるし〉額など、カインの体に刻印する(シュバイザー)の意ではない。「カインのために」「カインに対して」。ノアへのしるしは虹であった。ここでのしるしが何であるかはわからない。ノアの場合と同様に、ある自然現象(エリコット)かもしれない。
(引用:いのちのことば社「新聖書注解 (旧約 1)」p.102)
身震い(全身の震え)
カルヴァンが創世記註解で、アベルを殺したカインに神が与えたしるしは「身震い」(日本語版「全身の震え」)だという「ある解釈者たちの想像」(「ルターもそれだ」と欄外注)を紹介しています。
日本キリスト教団関口康牧師のツイート
宗教改革者として有名なカルヴァンとルターは「身震いじゃないか?」と想像したとのことです。二人の書籍が手元にないので、また機会を見て追記できたらします。
(もし「手元にあるよ」という方は教えてくだされば幸いです…)
肌の色(黒い肌)
過去にはカインが受け取ったしるしは肌が色黒になるという物だったという人もいました。よって、黒人はカインが受けた呪いを受け継いだ人種だという見解があったのです。
神がカインに与えたしるし(創世記4:15)とは何?(Got Questions)
この説に関する資料の一端を見つけることができたので、一応ご紹介。
編者のおじであるルイズ・マヌエル・フェルナンデス・ピメンタ(キンキン)が編者に語ってくれた別の類話では神の呪いの後、カインは肌の色が黒くなり、昔の白い色を取り戻そうとして流れている水で体を洗った。すべての川や小川や流れは、カインに触れられるのも嫌がって干上がってしまった。すぐに干上がってしまうことができない流れはやっとカインの足の裏と手のひらだけを黒くした。
(ブラジルの民話 北東部編 著者L.C.カスクード 著, 三原幸久 訳出版者新世界社出版年月日1979.4 pp.239-240)
こちらの書き方からは、黒い肌が「神のしるし」であると読み取ることもできそうではあるが、そうは言ってないカンジもある。
この見解は黒人たちが呪われているならば彼らを奴隷として扱っても良い、また彼らを差別しても良いというひどい差別の正当化に使われたのです。当然、この見解は全く聖書的ではありません。このしるしと訳されている単語が色黒な肌と訳されている箇所は一つもありませんし、カインが創世記4章で受けた呪いはカインのみに与えられた物で、その呪いがカインの子孫に受け継がれるなどという内容はどこにも書かれていません。また、カインの子孫が色黒であったという記録は聖書には書かれていません。さらに、ノアの息子達の妻の一人がカインの子孫 でなかった限り(可能性は低いですが)、カインの家系は洪水の際に断たれていたはずです
神がカインに与えたしるし(創世記4:15)とは何?(Got Questions)
オーラ(雰囲気)ーヘルマン・ヘッセ「デミアン」より
「実際は郵便のスタンプみたいなしるしが額の上にあったわけじゃない。そんなにひどいことはめったにない。むしろ、人々が見慣れているよりはいくらかよけいに才知と大胆さが目つきの中に現れているといったふうに、ほとんど目につかない、なにか気味悪いものがあったのだ。この男が力を持っていて、人々に怖れられていた。そこで、彼は〈しるし〉を持っているということになった。」
「ヘルマン・ヘッセ『デミアン』
こちらはヘルマン・ヘッセの「デミアン(デーミアン)」の作中からの解釈ですね。
赤い斑点?-アガサ・クリスティ「そして誰もいなくなった」より
これは、「聖書のカインの刻印は何であったのか?」という考察ではない+推理小説でネタバレ厳禁のため、ここで詳しく扱うのはやめます…。
→『そして誰もいなくなった』原作小説を徹底ネタバレ解説!あらすじから結末まで!(よなよな書房)
また、「そして誰もいなくなった」からさらに「魔法使いの約束」に受け継がれた表現についてはコチラ…
→まほやくの因縁コンビについて萌え語り。(かりん」さんのNOTE)
そのほか
▼「カイン 刻印」にまつわるツイート
(一定期間ツイートがないと表示されません)
ホントのところを確かめる方法がひとつだけ

ホントとトコロは何だったのか、どうしても知りたい!
と言う方のために、ひとつだけある確かめる方法をご紹介いたします。気になる方はどうぞ。
▼カインの印(しるし)のホントのトコロを確かめる方法
「聖書は作り話か」とか「カインとアベルの話、神が悪い」「ユダは本当に裏切り者だったのか」とかの真実を知るには
▼「カインの腕」はじめました
▼ほかにもいろいろ
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