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【更新】「異類婚姻譚」をめぐるアレコレ(5月更新)

第9話「るろうに剣心」『罪を背負いながら生きる』という美学で僕らは生きられるのか

るろうに剣心、るろけん、るろ剣、罪、贖罪、罪の赦し、罪の許し

登場人物

兄目 葵(あにめ あおい)


マンガやアニメが好きな高校生。石本伝道師と一緒にウサギを捕まえたことがキッカケで、兎有留(とある)教会に出入りするようになる。石本伝道師にマンガの話をしていくなかで、自分のやりたいことに向き合っていくのだが……

石本 剛(いしもと つよし)


最近、兎有留教会に赴任してきた牧師見習いの青年。ウサギのラビーちゃんとミロを愛する34歳。

葵と拓海からマンガの話を教わりつつ、たまに聖書の話しもする。過去には新興宗教の幹部候補生だったらしく……

ラビーちゃん


石本の飼っているミニウサギ。ミニといってもウサギの中では最大級に大きくなる種類。実は人間の言葉がわかる(しゃべることはできない)。性別はご想像にお任せ。

あらすじ

春。話すことが苦手なは、友だちができないまま高校生活のスタートを切ってしまった。落ち込んでいたところ、〈とある教会〉の牧師見習いの石本と出会う。大好きなマンガやアニメの話しならたくさん話せる葵は、石本にマンガを貸す約束をする。こうして葵は教会に足を運ぶようになるのだった。

第9話 るろうに剣心

とある教会、牧師の部屋、牧師室、キリスト教会
ミロ、あたたかい
あおい
あおい

石本さん【るろうに剣心】って知ってますか

石本
石本

はい、聞いたことはありますよ?

ラビ―ちゃん
ラビ―ちゃん

もふぉもふ

(今日の小松菜は美味しいな〜)

あおい
あおい

そうですか!じゃあ今度持ってきていいですか?面白いんですよ、新章・北海道編もやってますし…

石本
石本

ほう、どんなマンガなんですか?

あおい
あおい

えっとですね…

ネタバレ注意

この記事はネタバレを含んでいます。ネタバレが嫌な方は、原作を読んでからまた遊びに来て下さい!更新のお知らせを受け取りたい方は、

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るろうに剣心はどんなマンガ?


るろうに剣心―明治剣客浪漫譚― モノクロ版 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

◆ストーリー◆

幕末に「人斬り抜刀斎」として恐れられた伝説の剣客、緋村剣心。

明治維新後は「不殺」(ころさず)を誓い、流浪人として全国を旅していた。神谷薫との出会いや、同じ激動の時代を生き抜いた宿敵達との戦いを通じて、贖罪の答えと新たな時代での生き方を模索していく。

(引用:【るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-】wikipediaより)

「答えを探し続ける」という答え

あおい
あおい

るろ剣は、主人公の剣心が『罪を償う方法を探し続ける』っていうマンガなんですよ。ジャンプの中では珍しいテーマです

石本
石本

深そうなテーマですねー…葵さんは『償う』なんて難しい言葉をよく知ってますね

あおい
あおい

え、そんなのフツウですよ。(オタク文化ならではなのかな…?)

弁償するとか、埋め合わせをするとか、罪滅ぼしをするって意味ですよね?

石本
石本

そうですね

あおい
あおい

時代背景は幕末から明治なんですけど、剣心は人殺しが仕事だったんです。でもあることをキッカケにその仕事をやめて、全国を旅する浪人になります

石本
石本

ふむ、人殺しの浪人ですか

あおい
あおい

人殺しは過去の話ですけどね。昔は『人斬り抜刀斎』って呼ばれてて、その頃の罪を償う方法を探しながら浪人してるってワケなんです

石本
石本

なるほど。その方法は見つかるんですか?

あおい
あおい

一応、剣心なりの答えにはたどり着きますね。ハッピーエンドなんですけど、それでも剣心は心のなかで『自分の罪がなくなった』とは思ってない…と思います。

石本
石本

じゃあマンガの中に『罪は償われた』『赦された』というシーンはないんですか?

あおい
あおい

ないといえばないですかねぇ。頬の傷も完全には消えませんし。

(画像:集英社/和月伸宏「るろうに剣心」28巻)
あおい
あおい

剣心は、周りの人の態度を通して自分を肯定してる…感じです

(画像:集英社/和月伸宏「るろうに剣心」28巻)
あおい
あおい

(著者の和月伸宏先生自身、結末をハッピーエンドにしていいかどうかかなり悩んでたみたい(※)だしね…それってつまり、「はっきりは断言できないけど、こうだったらいいかな」って方向を選んだってこと…だよね)

(※)単行本コラムにて言及あり。

あおい
あおい

『カンタンに答えを出さない、という答え』って…石本さんはどう思います?

「自分で自分の罪を赦す」ことはできない

石本
石本

『カンタンに答えを出さないという答え』ですか。深い考え方ですねぇ

あおい
あおい

「(ほっ…反対じゃないんだ)じゃ、じゃあ、最終巻のモノローグのこの言葉はどう思います?」

犯した罪の償いは、どんなに心血を注ごうとも誰かが許すこと無しで償いにはならない

(「るろうに剣心」単行本28巻より)
石本
石本

ふむふむ

あおい
あおい

これって、『自分で自分の罪を赦すことはできない』ってことですよね

石本
石本

確かに、そうかもしれませんね……自分に対する怒りは『自分を許すことで楽になる』という考え方もありますが……誰かに対しての罪をも自分で赦すのは、開き直りというか、正当化になってしまうかもですね

あおい
あおい

(これも反対じゃないんだ)

でも剣心の場合は、人殺しなので……償いたい相手は死んでるので、そもそも償えないじゃないですか

あおい
あおい

この最終巻のモノローグは、剣心の『決して赦されることがない罪も、背負って生きていく』っていう生き方を肯定してるのかなって思うんです。この生き方って…どう思いますか?

わ、私は強くていいなって思うんですけど

石本
石本

なるほど、考えさせられますね

あおい
あおい

も、もちろん、日本の法律にふれるようなことをしたら、法による裁きを受けるのはしかるべきだと思うんですけど。

だとしても、そのあと自分のことをどう考えるかは、自分自身に課せられているモンダイになるかなぁ、って…

石本
石本

そうですね、確かに。

…デリケートな質問になってしまいますが…葵さん自身は、どうですか?

あおい
あおい

えっ……うーん…。難しいですけど、そうやって生きていけたらいいなって思います。自分のやったことを自分で許しちゃうのはやっぱり自分勝手だと思うし。

あおい
あおい

自分が罪をおかしてしまったら、『罪を背負いながら生き続ける』っていう剣心みたいな生き方をし続けるのが正解かなって思います。裁かれただけであって、許されたとは限らないんじゃないかなって思うから…うーん、なんだかこんがらがってきました

石本
石本

なるほど…

聖書は「罪の赦し」をはっきりと書いている本

石本
石本

…僕も『正解は何か、問い続けながら生きる』という剣心の姿勢はいいなって思いました。僕もそうありたいと思うこと、たくさんあります。

あおい
あおい

!そうなんですね…

石本
石本

でも、ちょっと違った思いもありまして

あおい
あおい

はい…

石本
石本

先ほど『葵さん自身はどうですか?』と聞きましたが、僕の場合は……僕は、法の裁きとは別に『罪の赦し』がなされる方法を知って…そちらを選びたいと思ったから、クリスチャンになったのです

あおい
あおい

えっと…石本さんは『正解を探し続けること』には賛成だけど『罪を背負いながら生き続ける』ことにはナットクしてなくて…

それは、キリスト教に『罪の許しがなされる方法』があるって知ったから…?

石本
石本

はい、そんなカンジです。先日の【神風怪盗ジャンヌ】の日にも、少しだけ『罪』について触れましたね

石本
石本

その時は触れませんでしたが、聖書には『すべての人間に罪がある』とあります。もちろん僕にも。そして、こうも書いてあるんです

聖書

『ただ、ひとりも滅びることがなく、すべての者が悔改めに至ることを望み、あなたがたに対してながく忍耐しておられるのである。』
(ペテロの第二の手紙3章9節)

石本
石本

つまり、聖書の神は人間の罪を赦したいと願っていて、その方法もハッキリと示している。そして犯してしまった罪に対してどうしらいいのかも示している、と僕らクリスチャンは考えているのです。

石本
石本

そして、それが本当に僕たちに適用できると思えるからこそ、クリスチャンとして生きることができるワケで…

石本
石本

なので僕は、『罪を背負いながら生き続ける』のではなく、罪に対して神の示す解決策を選択します。…『罪を背負い続けるのが唯一の生き方だ』と思っている人がいたら、僕は『あなたが望むなら、その重荷を降ろす方法もあるんですよ』と言いたくなっちゃいます。

あおい
あおい

………でも、さっき石本さんが言ってた『正解を探し続けること』と『罪の重荷を下ろすこと』は両立するんですか?

石本
石本

そうですね、言っても僕らクリスチャンは『神さまというのは人間の理解を超えた存在』だとしています。

人間に神さまの真意を100%理解するのは不可能だという立場に立っているので、人間が『コレが神のみ旨だ!』って言ったら、たちまち不健全さが生まれますから…

石本
石本

そういう意味で、『神さまの真意を探し続ける』という姿勢を持つことの大事さは忘れないようにしたいと思っています。

あおい
あおい

(…そう思うと、『神さま』っていうシステムって、理にかなっている気もする………けど)

あおい
あおい

(…石本さんは、なんでそれが自分にも適用されるって信じられるんだろう…)


ピンポーン

石本
石本

は!葵さん、すみません!これから予定があったんでした…

???
???

石本先生、います?

石本
石本

はい、はい!すみません創くん!

あっ、もしや二人は初対面では?

あおい
あおい

(たぶん、【恋雨】の日に石本さんと話していた人かな)

石本
石本

こちら、とある教会員の大泉創(おおいずみ そう)くんです。葵さんにお話しした『マンガ好きの子』が創くんのことなんです

創

あ、じゃあこの人が石本先生が言ってたマンガを貸してくれてる人なんだ

石本
石本

そうです。葵さんです。二人は同じ学校では?

創

あ、たしかに制服ウチの学校だ。何年生?

あおい
あおい

い、一年生です

創

じゃあ一つ下だね

石本
石本

そうでしたか、高校だとは学年が違えば会う機会ないですよね。そういえば葵さんは部活なんかは…

あおい
あおい

あ、いえ、その、えっと、わ、私も用事あったんでした!帰りますねっ

(そそくさ)

ラビ―ちゃん
ラビ―ちゃん

(葵ちゃん、またねー)

いつかみ、聖書解説、不穏な夕暮れ

あおい
あおい

(カンゼンにフシンシャと化してしまった…。慣れない人とかどう接していいかわからない…)

あおい
あおい

教会のマンガ好きな人って男子だったんだ…。なにか気の利いたこと言えたらよかったのかな。

『え、ほんとですかー?どんなマンガがお好きなんですかー?』

とか?

あおい
あおい

(いやいや、でも実際はオタクって細かい好みがあるし、私みたいな割と広く浅くタイプの人間がヘタな話を振って不快にさせたら嫌だし)

あおい
あおい

一回落ち着いて石本さんと話したことを整理しよう…

あおい
あおい

キリスト教を信じると罪の重荷は降ろせる…みたいなこと言ってたよね。

そんなの思いこみ一つでどうとでもなるって気もしないでもないけど…でも、宗教がそれを思い込めるだけの大きなシステムだってことはわかってきた。

あおい
あおい

キリスト教は『神さまが一人ひとりを愛して』て、でも『罪』があって、『信じるだけで良く』て…

あおい
あおい

罪を肩代わりしてくれる存在って、やっぱりイエス・キリストのことなのかな。でもどうやって肩代わりするの?どうやってそれを信じるの?

あおい
あおい

…私は、たぶん、剣心みたいに罪の重荷を背負ったままは生きれない…メンタルが豆腐だもん。

でも、『信じる』っていうのもわかんない。

あおい
あおい

…わかんないなー…

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