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【コラム更新】「歪みの国のアリス」愛する存在の血と肉を食べる日本人は100万人 !? (9/7更新)

第11話「マンガ塩狩峠」自己犠牲は本当にクリスチャンの美徳?椎名林檎も愛した文学

登場人物

兄目 葵(あにめ あおい)


主人公。マンガやアニメが好きな高校生。学校でマンガの話しをしすぎて、孤立してしまった15歳。

石本伝道師と一緒にウサギを捕まえたことがキッカケで、兎有留(とある)教会に出入りするようになる。

石本伝道師にマンガの話をしていくなかで、自分のやりたいことに向き合っていく。キリスト教のことを知りたいと思うようになり、石本から聖書の基本的なお話をきいたばかり。

 

石本 剛(いしもと つよし)


最近、兎有留教会に赴任してきた牧師見習いの青年。ウサギのラビーちゃんとミロを愛する34歳。葵と拓海からマンガの話を教わりつつ、たまに聖書の話しもする。過去には新興宗教の幹部候補生だったらしく……

 

ラビーちゃん


石本の飼っているミニウサギ。ミニといってもウサギの中では最大級に大きくなる種類。実は人間の言葉がわかる(しゃべることはできない)。性別はご想像にお任せ

 

登場人物

春。話すことが苦手なは、友だちができないまま高校生活のスタートを切ってしまった。落ち込んでいたところ、〈とある教会〉の牧師見習いの石本と出会う。大好きなマンガやアニメの話しならたくさん話せる葵は、石本にマンガを貸す約束をする。こうして葵は教会に足を運ぶようになるのだった。

第11話 塩狩峠

とある教会、牧師の部屋、牧師室、キリスト教会


「葵さん、今日は僕からマンガをプレゼントします」

 


「え、いいんですか?」

 


「(葵ちゃんは『鋼の錬金術師』の話しをした後、『キリスト教のことちゃんと知りたい』と石本さんに言ったんだよね。だからここ数週間はマンガのお話はお休みして、キリスト教の基本的なお話し聞きに来てたんだよね)」


【塩狩峠】?」

 


「小説なら中学校の学級文庫にあった気がします。でも読んだことはないです」

 


「マンガなので読みやすいですよ。よかったらと思いまして」

 

ネタバレ注意

この記事はネタバレを含んでいます。ネタバレが嫌な方は、原作を読んでからまた遊びに来て下さい!更新のお知らせを受け取りたい方は、

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【塩狩峠】はどんなお話し?


漫画 塩狩峠 (Forest books)
 原作 三浦綾子 作画 のだますみ

◆ストーリー◆

東京生まれの永野信夫は、10歳まで武家であった祖母のもとで育った。母がキリスト教信者であったため祖母の家を追われたためである。祖母が死んだので母と暮らすようになるが、儒教で育てられた信夫はキリスト教を受け入れられない。


友人・吉川とその妹で病弱なふじ子に出会う。吉川兄妹は、家庭の事情で北海道へ引越したが、ふじ子の病状悪化を知り信夫もまた、北海道の鉄道会社に勤める。キリスト教を理解できなかった信夫であったがふじ子がキリスト教信者であったこと、同僚の給料泥棒事件ののち街頭演説で知り合った牧師・伊木一馬に出会い入信を決意する。


そして、ふじ子との愛を育み結婚を決意する。結納のため乗った列車が塩狩峠の勾配を登り頂点に達したとき、突如機関車と離れた車両が逆走を始めた。鉄道員として、乗客を助けるため必死に手動のブレーキに手をかけたところ、速度は落ちたものの緩やかに逆走する先に急カーブが迫り転覆の恐れが増す。恐怖に怯える乗客を救うために信夫は線路をめがけて身を投げ出した。

(引用なし、いつかみオリジナルあらすじ)

「マンガ版」塩狩峠は

 


「へえー、実話がもとなんですか。そんな事件があったんですね」

 


「そうみたいですね。北海道には記念館もありますし、有名な事件のようですね」

 


「このマンガを読んだら原作を知ったことになりますかね?」

 


「原作にかなり忠実なので、大丈夫だと思いますよ」

 


「塩狩峠は、クリスチャンでない方にも幅広く読まれている小説です。主人公の葛藤や成長が緻密な描写で描かれていることが人気の秘密みたいですね。歌手の椎名林檎さんなどもかなり影響を受けたそうですよ(パソコンカタカタ)

 

椎名林檎が音楽もすべてひっくるめて最も影響を受けたというのが、三浦綾子の小説『塩狩峠』だという。国語のテストで初めてそれを読み、思わず泣き出してしまったという。(「LIFEは芸術だ!ブログ」より)

現在、この書籍の帯は椎名林檎が写真入りで推薦文を書いているという。
あの椎名林檎が!?と、ちょっと驚いた。(「なかたのジャイアンツ日記。」より)


「へー…」

 


(あ、葵ちゃんはこっちでマンガを読んで、石本さんはあっちでお仕事するみたいだ)



数十分後


「あの、読みましたっ」

 


「おお、お早いですね。いかがでしたか?」

 


「面白かったです。絵もフツーのマンガに比べたらあっさりして、て気になるかなと思ったんですけど、慣れました。でも…」

 


「気になるところがいくつかありました」

 

クリスチャンは「人のために死ぬ」ことを求められるの?


「作中の『一粒の麦が地に落ちて死ななければ』っていう聖書の言葉が印象的でした。どんな箇所なんですか?」

 

聖書
『よくよくあなたがたに言っておく。一粒の麦が地に落ちて死ななければ、それはただ一粒のままである。しかし、もし死んだなら、豊かに実を結ぶようになる』
(ヨハネによる福音書12章24節)


「聖書にこう書いてあるってことは、クリスチャンは永野さんみたいに誰かの身代わりになって死ぬことが良いことなんですか?」

 


「いえいえ、ここまですることが誰しもの目標ではないとは思います。永野青年の死は婚約者のふじこさんにとっては辛かったと思いますし」

 


「尊い決断だったと思いますが、誰しもがこういった形の犠牲を払うことを求められているわけではないと僕は思ってますよ」

 


「そうなんですね…(ほっ…)」

 


「それに、この箇所は【イエス自身】のことを指しているという読み方もできるんです」

 


「え?どういうことですか?」

 


「キリスト教の基本的な学びをしたとき『イエス・キリストの十字架の死』についてお話ししたことを覚えていますか?」

 


「えと、イエスが十字架につけられて一回死ぬんですよね(そのあと復活したっていうのは、信じられないけど…)

 


「そうです。そして、この箇所は十字架につけられる前にイエス自身が弟子のピリポとアンデレに語った言葉です。こういう聖書箇所から、イエスは自分が十字架につけられることを知っていたということが分かりますよね」

 


「あ…(まあ、そういう読み方もできるのかなぁ…?)

 


「イエスが十字架につくことを知っていたということは、預言の成就を意味すると同時に、イエスは自分の運命すら知っていると読みとる材料の一つとなっています。また、自分が拷問にかけられて死ぬことを知っていても逃げ出さなかったという点に敬服するという人もいらっしゃいますね」


【カードキャプターさくら】でエステル記のお話をしたときにもカンタンにお話ししました。一文が色んな伏線からなっていたり、複数の読み方ができるのが聖書なんです」

 


(背景を読み取って『正しい読み方』を勧める人たちもいるって誰かに話してたなぁ。でもここの教会は『一つの解釈』をそんなに強く推したりはしてないよね)

 


【恋は雨上がりのように】でもお話ししましたが、大事なところから外れなければ『自分』と『神さま』の間で感じたことを受け止めていいんですよ」

 


「じゃあ、もしこの箇所を読んで『誰かのために命を差し出すこと』をしたいなって思ったら、それもいいってことですか?」

 


「はい、その方がそれを受け入れるならいいと思います」

 

 

神さまを信じるとどうなるの?残る不安を言い出せない葵…


「『汝の敵を愛せよ』とか『父よ彼らをお許しください』とか言えるイエスがすごい存在だってことは分かりました。これに感動する永野さんの気持ちもなんとなく分かります」

 


「でも…」

 


「でも?」

 


(正直『イエス・キリストって実在の人物なの?』とか『弟子たちが都合のいいこと書き残しただけじゃないの?』とか疑っちゃう。でも牧師に向かってそんなレベルのこと聞くの恥ずかしいし、なんか悪い気がする)

 


(言うのやめとこう。いくらなんでも空気読まなさすぎな質問だもん。そんなことより『信じる』ことが大事なんだよね、きっと。も少し別の感想を言おう、えっと…)

 


「…こういうの読むと、キリスト教って信じてもいいことないのかなって思うんです」

 


「ほうほう」

 


「永野さんだって結局、結婚して幸せになる前に死んじゃうし…。キリスト教は信じるだけでいいけど、なにもトクしないって証明してるようなもんじゃないですか?」

 


(私はお母さんやお姉ちゃんが私のこと認めるようになってほしいって期待してるから、これもご利益を求めてることになるのかな。学校でぼっちの昼休みを過ごさなくて良くなったり、クラスの子に笑われないようにしたいとか、そういうのも)

 


「確かに、キリスト教が言う『救い』とは『神さまとの関係の回復』ですから、なんじゃそりゃと思われる方が多いのも分かります」

 


「ただ、『神さまとの関係』が回復すると、考え方が変わったりすることもあるんです。『神が自分に何を求めているのか』と表現する方もいらっしゃいます。…なっていくように祈りつつ歩む という点でかなり変わっていくと思います」

 


(そんなふうに変われたらいいのかもだけど、それってやっぱり周りの人が変わるわけじゃないんだ。結局は自分の器が広くなってジタイがよくなるとか、そんな話しなんだ)

 


(そんなの、ちょっと物足りないかも)

 


「CCさくらの話しでもしたように、神さまのルールを守ることは救いの条件ではないのです。『神が自分に何を求めているのか』を求める意欲も神から与えられると考えて、気楽に考えていればいいと思いますよ」

 


「……」

 

 

とある教会、キリスト教会、夕暮れ、夕焼け、いつかみ、マンガ、聖書

 

 


「そういえば葵さん、先日した『聖書のキホン的なお話』はいかがでしたか?」

 


「えっ、あ…はい、興味深かったです」

 


(キリスト教の基本的なお話…『神さまは私を愛してる』『人間には罪がある』『神さまと人間の橋渡しはイエス・キリスト』『信仰によって罪が赦される』ってお話のことだよね)

 


「もし葵さんが信じたいと思われるのでしたら、一度ご両親にもお話しておいたほうがよいのかなと思うのですが。そのあたりはどうでしょう?」

 


「え…っ(あんまり言いたくない…)

 


「というか、もし『信じたい』って言ったらどうなります?」

 


「『信じたいと言う』と?うーん、外側からの大きな変化はないかと思います。ご希望でしたら洗礼の準備に移りますよ」

 


「洗礼!?(まだそんな大きなギシキしてもらうほど覚悟してないし…っ)

 


「あ、すみませんすみません。そうですよね、急ですよね。…まずは礼拝に参加されてはいかがでしょう?」

 


「(信じるだけでいいって言うわりに『洗礼』なんて儀式しなきゃいけないのか…それもちょっと矛盾してないかな)」

 


「その…洗礼受けたら礼拝には毎週参加しなくちゃいけなくなるんですか?」

 


「ああ、いえいえ。礼拝への参加は権利であって義務ではないんです。確かに聖書は礼拝についてこう言っていますが」

 

聖書

『安息日を覚えて、これを聖とせよ』
(出エジプト記20章8節)

『ある人たちがいつもしているように、集会をやめることはしないで互いに励まし、かの日が近づいているのを見て、ますます、そうしようではないか』
(ヘブル人への手紙10章25節)

 


「それと同時にこんな箇所もありまして」

 

聖書

『だから、あなたがたは、食物と飲み物とにつき、あるいは祭りや安息日などについて、だれにも批評されてはならない。これらは来たるべきものの影であって、その本体はキリストにある』
(コロサイ人への手紙2章16節17節)

『また、ある人は、この日がかの日よりも大事であると考え、ほかの人はどの日も同じだと考える。各自はそれぞれ心の中で、確信を持っておるべきである』
(ローマ人への手紙14章5節)

 


「ですから、葵さんが『礼拝に参加したい』と思うならその気持ちを大事になさってください」

 


「この前に紹介した創くんもだいたい来てますよ」

 


「えっ」

 

いつかみ,葵、創を思い浮かべる

 


(あの人か…マンガの話できるなら、ちょっと行ってみてもいいかも)

 


「塩狩峠、悪くはなかったんだけど……」

 


「なんかこう、キリスト教のことまだしっくりこないからかな。そこまで感動はしなかったかなぁ」

 


「まあ…これから感動するようになるのかもしれないし。ヒカルの碁の佐為みたいに、とりついて助けてくれたら分かりやすいのになぁ。ヒカ碁の話しだと『天使が見えるようになるわけじゃない』らしいけど、私の気持ちは自然と変わっていくのかも」

 


「礼拝は一人じゃ怖いから拓海も誘ってみよう。これから先、何かイイ方向に変わっていくんだよね、きっとーー」

 

 

 

 

今日の石本さんはちょっと強引だったかもしれないね。葵ちゃんは、まだ信じることはできないけど礼拝には来てくれるみたいだね

 

ラビー’s聖書ポイント

・イエスは「自分が十字架にかかることを知っていた」ことも、イエスが救い主(神さま)であるとクリスチャンが信じるポイントの一つだよ。

 

・クリスチャンになったら誰でも自己犠牲を求められるというのは間違いだよ。「神さまが喜んでくれる生き方」を探していくことは良いことだけど、それも個人が聖書を読んだりお祈りするなかで気持ちが与えられたら実行すればいいことだよ。

 

・日曜礼拝は、神さまを信じた人たちの権利であって義務ではないよ。

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また、三浦綾子さんの小説でもう一つ有名なのがデビュー作「氷点」です。こちらも塩狩峠に負けず劣らず現代でも読み継がれている名作です。

「氷点」もマンガ版がありますが、こちらは「Renta!」でしか見つけることができませんでした。

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