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スイス版ルンペルシュツルツヒェン?「娘に求愛する小人 ハンス・エフェリッケリー」

スイス民話「娘に求愛する小人」(ドイツ語圏)あらすじ

痩せた牧草地と伝説豊かなプレッティガウという土地では、夏の間、フェングという小人族が人間の娘たちに野苺やブルーベリーがいっぱい詰まった籠をプレゼントすることがあった。

どんな愛想ない娘でも、こういった贈り物を喜ばさるを得なかった――たとえば、この贈り物を受け取らずに置き去りにすると、野良仕事に出た際に腐ったキノコに悩まされたり、どこからともなく大きなあざけり声が響いてきたりするからである。(この時笑い声の主が現れることはないが、文脈的にこのフェングがそういう仕返しをしているということが読み取れる)

フルナのある小さな家にはかわいい陽気な娘が住んでおり、その娘はとあるフェングに気に入られていた。そのフェングはだれにでもわかるプレッティガウ方言で話しをするので、娘はフェングの訪問を怖がったり拒絶したりはせず、家族ぐるみで付き合いをしていた。

しかし、ある時。娘が冗談で「小人のお嫁さんになる」と言うと、その小人は約束の履行を執拗に求めるようになる。

「あの出来損ないの小人、頭髪と髭はもじゃもじゃ、なにも見えない頬や口、いつも細く、松の針のような毛、この谷間の村じゅう評判の小町娘は、これが自分の夫だなんて考えられなかった。」

娘は何度も「約束をなかったことにしてほしい」と小人に頼むが、小人はまったく聞き入れない。

ただ、娘があまりにも約束を果たす様子がないからか、ある日小人は「自分の名前を当てる事ができれば、もう二度と家には来ない」と言う。

娘はそれを難題だと思い一旦途方に暮れる。

「小人の名を言い当てることなどいったい誰ができよう。フェングといえば、ゼンフケルンリ、アストレックリ、グラゲルリ、ギクシゲキシ、シュトゥルーリーベリクンツリやヴァルトクロゲリなどがごくありふれた名前だ。だが、このわがままな求愛者はきっと、まったく妙な洗礼名をもらったことだろう。」-

しかし、娘の代母の的確な助言により、娘は小人の名前を知ることができる。

その助言とは、小人が次に会いに来た時にこっそり小人に糸まきつけて、小人が帰るとそれをたどって小人の棲家まで行って、そこで小人の名前をこっそりと知る、というものであった。

娘は代母の助言を実行し、小人の洞穴にたどり着く。小人は住処に入るまえに月明りのもと踊って歌う。

今日はおいらはパンを焼く
明日はおいらは洗濯だ
それからカール髪の娘を連れてくる
おいらの娘にゃわからない
おいらの名前はハンス・エフェリケッケリー」

そうして翌日、小人がやってくると、娘は親しみのある声で「あら、いらっしゃい、ハンス・エフェリケッケリーさん」とあいさつする。小人は仰天し、地団駄を踏み、叫ぶ。

お前に代母がいなかったなら
おいらは今では幸せになれていたものを

そうして小人はもう一度悲しげな目で娘を見て去っていった。以来その谷間の村では、かつてのように小人たちからの贈り物はなくなったのであった。

(「スイス民話集成」pp.p177-178より要約)

補足など

▽この辺がお話の舞台みたいです

「フェング」にまつわるお話はこれ以外にもたくさん収録されていました。ただしその多くが「…こういうわけで、現在フェングはこの土地に来なくなった」みたいな語られ方をしている印象を持ちました。

曰く、「栗色の縮れ毛をした小人族で、昔、ビュンデンのドイツ語圏の谷間の洞穴とか森を棲家にしていた。」という描写が一般的なもようです。

コレ系のお話で有名なルンペルシュティルツヒェンやトム・ティット・トットと話型(AT500?)こそ似ているものの、それらとはお話の主眼が違うのが特徴的でした。

(このハンス・エフェリケッケリーのお話は「この地域の人間が小人と断絶した由来譚」だと認識しました。)

時に私は、「り」で韻が踏める名前がやっと出てきてくれたので

壁に耳あり
障子に目あり
小人の名前はハンス・エフェリケッケリー

みたいなことを口ずさんでいます。

また、この「ハンス・エフェリケッケリー」のお話は小人の名前の突き止め方が「ルンペルシュティルツヒェン」よりも「トムティットトット」よりも、日本の蛇婿入り:苧環型に近くて、そこもアツいな…!と思いました。

▽似たお話

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