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【更新】文スト・文アル好き必見。キリスト教日本文学35選(1/06更新)

【元祖なろう系?】追放系ざまぁの起源としての聖書エピソード紹介

こんにちは、人気マンガやアニメ・ラノベなどから聖書を解説するWEBサイト「いつかみ聖書解説」です。本日は

たくみ
たくみ

「追放系ざまぁ」の起源ってなんかあるのかな?

と思う方のために、おそらく「世界最古で一番有名な追放系ざまぁ」エピソードをご紹介したいと思います。

▼ちなみに「追放系ざまぁ」とは…

何事においても流行り廃りってあるけれども、昨今のなろうでのブームの一つに「追放系ざまぁ」ってあるよね。

一応説明しておくと。特定のグループから主人公が追い出される「追放系」と、かつて見下したり虐めてきた相手を見返す、もしくは復讐する「ざまぁ」の合わせ技やね。

 どちらか一つの要素だけでもストーリーを成立させられるだろうに掛け合わせるということ……ジョグレス進化ですね! 弱いはずがない!!

(引用:「追放系ざまぁについての所感」雑魚王)

結論から申し上げますと…

あおい
あおい

聖書には「追放系ざまぁ」と同じ構造の物語があって、
見方によっては聖書そのものが大きな意味で追放系ざまぁ構造をしているかもしれない

ということで、今回はその話しをしていきます。

聖書に見る「追放ざまぁ」系

聖書における「追放系ざまぁ」一番わかりやすいエピソード…エジプトに売られたヨセフ物語

画像

ヨセフのエピソードは「創世記」37-50 で語られています。

ヤコブの子ヨセフの特徴

【長所と功績】
・奴隷からエジプトの支配者へと権力の位を上った
・一個人としては誠実な人として知られていた
・霊的な感性を備えた人だった
【短所と過ち】
・若輩のころの高慢が兄たちとの摩擦を生んだ
【基本データ】
場所…カナン、エジプト
職業、身分…羊飼い、奴隷、囚人、支配者。
親族…両親:ヤコブとラケル。11人の兄弟と一人の姉妹がいた。妻:アセナテ。息子:マナセとエフライム。

そもそも「創世記」がわからん…

5:36~がヨセフのストーリーの解説ですが、全部見ても8分くらいの動画でアニメーションのクオリティも高いのでよければ全部ご覧ください。「創世記そのものがどういう事が書かれているのか」という概観がつかめます。

聖書のヨセフが他の「追放系」っぽい神話のなかで一番古いってほんとか?

調べていると、「古事記」の天照大御神(アマテラスオオミカミ)や須佐之男命(スサノオノミコト)あたりも並べて考えているような方もいらっしゃる感じでしたが、編纂された時期を考えるとどっちが古いかというと聖書のほうが古かろうと思います。

――「旧約聖書」はいつ、どのように編纂されたのか

まとまりのあるものが最初に成立したのは(紀元)前5世紀から前4世紀頃で、ユダヤ民族がペルシアの支配下にあった時期です。ユダヤ教が民族宗教としてそれなりに本格的に成立したと言えるのは、「出エジプト」の出来事の時です。前13世紀のことです。この時から、聖書の最初の部分が生じるまで、8、900年の時間が流れています。ユダヤ教には長い間、「聖書」は存在しませんでした。ユダヤ教は聖書に基づいて存在しているのではない、ということになります。

しかし聖書が、作られ始めます。「創世記」「出エジプト記」「レビ記」「民数記」「申命記」の五つの文書からなる、いわゆる「(モーセ)五書」です。これに他の文書がだんだんと付け加わって、文書の数が増えていきます。

比較神話学とか深堀してみたらもっと詳しくわかるのかもしれませんが。

もう少し深い理解を目指したい方は…

これらの物語は「イエス・キリスト」の予型として読む事ができるところもミソ

あおい
あおい

聖書は、小さな物語が聖書全体の物語に組み込まれてるんだけど…エジプトの宰相になったヨセフの物語はとくに『のちにやってくるイエス・キリストの予型として表現されている』と考えることもできるんだ

たくみ
たくみ

ヨセフのストーリー単体じゃなくて、聖書を全体的に見るともう一段階深い古典理解につながるかもねー

こちらの動画 ↑でも言及されていますが、聖書は「下降と上昇の小さなストーリーが大きなストーリーに連動している」という性質があります。旧約新約聖書の言う「大きなストーリー」とは、ものすごく端折って書くならヨハネ3:16に集約されると福音派ではよく言われているのですが、

聖書

神はそのひとり子を賜ったほどに、この世を愛してくださった。それは御子を信じる人がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。

(ヨハネによる福音書3章16節/口語訳)

その「ひとり子/御子」であるイエスと、ヤコブの子ヨセフの物語はとくに緊密に連動しているとみてよさそうです。

▼ヨセフとイエスの共通点

ヨセフ…創世記

ヨセフ類似点イエス
37:3父から深く愛されたマタイ3:17
37:2父の羊の羊飼いヨハネ10:11、27
37:13,14父により兄弟たちのもとに送られたへブル2:11
37:4兄弟たちに憎まれたヨハネ7:5
37:20他者も彼を傷つけようと計画したヨハネ11:53
39:7誘惑されたマタイ4;1
37:25エジプトに連れていかれたマタイ2:14、15
37:23上着をとられたヨハネ19:23
37:28奴隷の値で売られたマタイ26:15
39:20鎖につながれたマタイ27:2
39:16-18偽りの告発をされたマタイ26:59、60
40:2,3他の投獄者二人とともに置かれ、一人は救われ、もう一人は失われたルカ23:32
41:46共に社会的に認められ始めたのは30歳のときだったルカ3:23
41:41苦しみの後に高められたピりピ2:9-11
45:1-15自分を苦しめた者たちを赦したルカ23:34
45:7自分の民を救ったマタイ1:21
50:20人々が彼を傷つけるために行ったことを神はよいことに変えたⅠコリント2:7、8
(参考「BibleNavi適用付き」p.89)

多くの神々や英雄たちの誕生と同様に、イエスの誕生は殺害の脅迫のもとでの誕生である。ヘロデはベツレヘムの幼子の殺戮を命じるが、難をのがれたのはイエスだけである。モーセも同様に、ユダヤの子を殺害しようとする試みから逃れる。彼らはのちに、エジプト人の初生児の虐殺者から逃げることになる。幼子イエスはヨセフとマリアによってエジプトに連れて行かれる。彼のそこからの帰還は、「マタイによる福音書」(2:15)によれば、「ホセア書」(11:1)の「エジプトから彼を呼び出し、わが子とした」という預言を成就する。イスラエルのことを指しているのはきわめて歴然としている。マリアとヨセフという名あは、モーセの妹ミリアムと、イスラエルの一族をエジプトへ導いたヨセフを思い起こさせる。コーランの三番目の「スラ」[章]はミリアムとマリアを同一の人物として扱っているように思われる。キリスト教徒のコーラン注釈者は、当然のことながら、このような事は滑稽であると言っているが、この場合、コーランが基づいている純粋に予表的視点に立てば、この同一視には十分に意味がある。

(ノースロップ・フライ著「大いなる体系」p.247~248)

福音書にあるようなイエスの公生涯は「追放系ざまぁ」か?

イエスの公生涯の運びが「追放もの」であるという見方もあるようだが、福音書を読むとあんまり「追放系ざまぁ」という感じはしない。聖書中の個別のエピソードを取り上げるならやはり「エジプトに売られたヨセフ」の物語が追放系ざまぁだと思うし、個別エピソードではなくて聖書全体を見通すと、「人間の楽園追放からのざまぁ」という物語である、みたいには言えるかもしれない。

アダムの楽園追放/カインのノドの町への追放/エサウの追放/イシュマエルの荒野への追放/ダニエルイスラエルの民たちのバビロン捕囚/