マンガから聖書がわかる不思議なWebサイト

【更新】天草四郎伝説の沼に足つっこみはじめた(2月更新)

第18話「闇」

 

登場人物

兄目 葵(あにめ あおい)


主人公。学校でマンガの話しをしすぎて、孤立してしまった15歳。石本伝道師と一緒にラビーちゃんを捕まえたことがキッカケで兎有留(とある)教会に出入りするようになる。石本伝道師とマンガの話をしていくなかで、自分のやりたいことに向き合っていく。新しい予感に胸をおどらせ始めた葵はスマホを手に入れYouTube発信を始めたのだが、住所をさらされてしまう。(初登場:プロローグ

 

万賀 拓海(まんが たくみ)


葵の幼なじみの高校生15歳。マンガ家を目指す少年。熱血な性格で、葵とは真逆に人目はあまり気にしない。ただ創作のことだけは世間の意見に左右されてしまうこともあるようだ。サブカルのたしなみとして聖書を知りたいと思っている。(初登場:第3話けものフレンズ)

石本 剛(いしもと つよし)


最近、兎有留教会に赴任してきた牧師見習いの青年。ウサギのラビーちゃんとミロを愛する34歳。葵と拓海からマンガの話を教わりつつ、たまに聖書の話しもする。人当たりのよい青年だが、過去の詳しい話しはあまりしないので謎に包まれていると言えなくもない。(初登場:プロローグ

ラビーちゃん


石本の飼っているミニウサギ。ミニといってもウサギの中では最大級に大きくなる種類。実は人間の言葉がわかる(しゃべることはできない)。性別はご想像にお任せ。(初登場:プロローグ

 

あらすじ
前回の話はコチラ。話すことが苦手なは、友だちができないまま高校生活のスタートを切ってしまった。落ち込んでいたところ、〈とある教会〉の牧師見習いの石本と出会う。大好きなマンガやアニメの話しならたくさん話せる葵は、石本にマンガを貸す約束をする。こうして葵は教会に足を運ぶようになり、自分の好きな物語に「キリスト教」との共通点を見出していく。新しい世界への予感に胸をおどらせ始めた葵は、「神さまを信じるといいことがおきるのかも」と感じ始め、新しくYoutubeへの投稿などに挑戦し始める。しかし、ある日強引なクリスチャンの女性に聖書を渡され、葵の心にキリスト教への不信が芽生え始める。そんな日常を過ごしていたとき、葵は石本伝道師の過去をネットで知ってしまう。石本は過去にある宗教団体でわいせつ容疑や献金横領問題を起こしていたという。不信感が確信に変わりそうな矢先、葵の住所がYoutubeで晒されてしまうーー。

第18話 闇

 

\〜♪/

 


〈おい、今日学校休んだのか?あのコメントのせいか?〉

 


〈くそ、住所なんてさらしやがって、どこのどいつだ…!〉

 


「何が起こるのかな…?」

 


「…聞いた話だと、家にカラーコーンが送られてきたり」

 


「え、カラーコーンくらいなら…」

 


〈毎週送られてきたら?〉

 


「こ、困る…!」

 


〈あとは宅配ピザを勝手に注文されたり、勝手に代引きで荷物が送られてきたり…〉

 


〈ストーカー、とか〉

 


--!

 


〈とりあえず、おばさんにはちゃんといった方が良いぞ!〉

 


「でも…言ったらYoutubeなんてやめろっていわれちゃう。やめたくないし…」

 


〈〜〜〜だったら俺が一緒に話してやるから!今日おばさん帰ってくるのいつだ?〉

 


「17:30には帰ってるはず…」

 


〈おし、漫研切り上げて今から行ったらちょうどくらいだな。謎のピンポンとかあっても開けるなよ!俺はラインするから!〉



(拓海って、こんなに頼れるやつだっけ…なんだかすごくうれしいかも…)

 


「拓海…」

 



〈ん?〉

 


「…ん、なんでもない。待ってるね」

 


(「ありがとう」って言わなきゃだよね。面と向かって言うのなんかはずかしいな…お母さんに話終わったら言おうかな…)」

 


「--天気悪いなぁ。天気予報当たんないなぁ」

 


「そういえば、石本さんのこと拓海には何て言おう…やばい人かもしれないって。でもあれが嘘だったら…いいや、でも何にもしてない人があんな風に言われることってある?どのみち近寄らない方がいいもんね……いや、でも……」


「拓海、まだかなー…お母さんが先に帰ってきちゃうかも…(窓の外をちらっ)

 


「!あ、自転車でこっちきてる!」


「おーい、たくみー!」

 


「ちょっと遠いか…さすがに聞こえないよね(っていうか呼びかけてどうするんだ私…)

 


「あれ?でも、あの勢いだとーートラックにーー」


「たく…!!」

 


「うわっ!!!!!」

 

キーーーーーっ!!!

ドンッッッ!!!


「------!!!」

 

ーぽつっ

 



「--あれ、雨…」

 


「天気予報では晴れだったのに、困りますね」

 


(なんだか、今日は嫌なかんじがする。妙な天気だからかな。なんにもないといいけど・・・)

 

 


「たくみッ拓海…ッなんでこんなことに…ッ」

 


「------」

 


「なんで、何を急いでたの…」

 


「可奈子、しっかりしろ…しっかりするんだ…っ」


「---(私の、せいだ)

 


(私のせいだ)

 


「葵ちゃん…ありがとう、ご近所の人と一緒に救急車呼んでくれたんでしょ?」

 


「…(違う、だって、だって私のせいだもん。私が拓海に頼まなかったら、あの時間急いで帰ってくることなんてなかったのに)

 


(私のせいなのに…)

 


(こわくて言い出せない。おばさんにあやまらないといけないのに)

 

ぱっ


「手術はうまくいきましたが…」

 

「ーー意識が…」


「戻らないーーー?」

 


「…はい…」

 


「ーーそんな…」

 

ーーーたくみの人生を、私が壊したーーー


(---私が、壊したんだーーー)

 

 ざあああああーーーっ

 

第19話「ともし火」に続く